「紫の鏡」



という言葉を二十歳まで覚えていると、鏡の破片に全身を刺されて死んでしまうという噂があります。















これは紫の手鏡と、その鏡を大切にしていた女の子に纏わる呪いだと云われます。



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二十歳を目前にして交通事故で亡くなった女性が居りました。折しも彼女が楽しみにしていた、成人式直前の不幸でした。





彼女は生前、紫色の手鏡をとても大切にしており、いつも肌身離さず持っていました。






亡くなった女性の知人の中には

「紫の鏡なんかを持っているから、鏡に魂を吸われたんだよ」と、心無い噂をする人も居りました。




異変が起こったのは、彼女の通夜が終わったときのことです。

娘が大切にしていた物も一緒に荼毘に付そうと、両親が紫の手鏡を探しましたがどこを探しても見当たりません。娘の部屋にあったはずの手鏡ですが、家中どこを探しても見つからないのです。





それらから数日して、彼女が楽しみにしていた成人式の日が訪れたのですが、出席する予定であったある女性が突如行方不明になってしまったのです。行方不明となった女性は、紫の鏡について心無い噂話をしていた知人の一人でした。





必死の捜索にも関わらず、知人女性は行方不明のまま。代わりに彼女部屋で発見されたのが紫の手鏡でした。




魂を吸うと言う、紫の鏡の噂は現実のものとなってしまったのです。





その後、紫の鏡は忽然と姿を消し、心無い噂をした人々の元へと現れるようになったと云うことです。



そして、二十歳を迎える若者がこの言葉を覚えていると、紫鏡の呪いが降りかかるようになってしまったのです・・・・








紫鏡には、元々紫色であったという話と、絵具を使って自分で紫に塗ってしまったという、2パターンの話がありました。



その異なるバージョンでは、大事にしていた手鏡を紫色に塗って、絵具が落ちなくなってしまった女性の話があります。





その女性は母からもらった手鏡を紫色に塗ってしまったことを大変後悔したそうです。



そして彼女は病気を患っていたのですが、治療の甲斐なく二十歳の若さで亡くなってしまいました。



最後の時まで、「紫鏡、ムラサキカガミ、・・・」と呟いていたそうです。



その日以来、「紫の鏡」という言葉に彼女の呪が掛かり、二十歳までこの言葉を覚えていると禍が降りかかるようになったということです。







紫の鏡のほかに「アカイヌマ」や「イルカ島」という言葉を二十歳まで覚えていると、禍が降り掛かるという話があります。



呪いへの対抗策として、「白い水晶」「金色に輝く鏡」といった言葉を覚えていれば、呪いから逃れられるという話も小学生を中心に広まりました。








よい子の都市伝説講座第2回「紫の鏡」