海外の話である。とある所に、さえない二人の女学生がいた。



その二人、1週間後には海岸沿いのリゾート地で夏休みを楽しむ予定であった。

















「今年の夏こそは」と、ボーイフレンドを作る決意を固めて、リゾート地での素敵な出会いに胸をときめかせていた。



まずは図書館通いで青白い体をどうにかしなければならない。生白い体では、イケてない大人しそうな印象を持たれそうで、二人のコンプレックスとなっていた。



健康的な小麦色のボディーでビーチを歩くために、二人は日焼けサロンに通うことにしたのであった。





しかし、観光地に発つまで、残された時間は1週間しかない。



いち早く体を焼くために、二人は一日に何軒もの日焼けサロンを梯子して歩いたのであった。





そんなことを繰り返していたある日、一緒に日焼けサロンに通っていた友達が体の不調を訴えた。



電話越しに

「具合悪いから今日は家で寝てるね・・・」



これが友達と交わした最後の言葉となってしまった。その日の晩に、友人は亡くなってしまったのである。



やはり日焼けマシーンを過剰に使用したことがいけなかったのか?女学生は怖くなってしまい、急いで病院へと向かった。



・・・

診察を終えるとお医者さんは、女学生にこのように告げた。



「あなたの内蔵は焼けています。」



お医者さんの言葉に心底驚いて

「先生!私は、私の内臓は治りますよね!?」



するとお医者さんはため息交じりに、女学生に告げた。

「一度焼いた肉を、生肉に戻す方法があればね・・・」





・・・・・・



日焼けマシーンが世に登場した頃のお話である。



米国の新聞で民俗学者が持っていたコーナーには、日焼けマシーンに関わる多数の投書が寄せられた。



「日焼けマシーンの使い過ぎで、内臓が焼けて亡くなってしまったんです。これは友達の友達の身に起こった、本当の話です。」と。



そして、度々届く似た様な内容の投書にうんざりした民俗学者は


「くそ、また黒焦げか!(Curses! Broiled Again!)」



うんざり感と共に、この投書の分析から人々の繋がりが希薄な都市部においても、同じような類話が口承により広まっていることに驚く。



そして学者はある事に気がついた、これらの類話は都市の民話、都市の伝説と言えるのではないかと。