あるところに貧しいながらも二人仲良く暮らす、母子家庭の親子がおりました。





母親は女手一つで中学生の娘を育てるために毎日毎日、朝早くから夜遅くまで働いていました。











母親は忙しい毎日を送っていましたが、休みの日には出来る限り娘と一緒に過ごすように努め、親子の時間をとても大切にしていました。





けっして裕福とは言えない家庭でしたが、娘は母の愛情を常に感じていたので、寂しさや辛さを感じることはありませんでした。



・・・



そんな親子の生活が母親の病気によって突如終わりを
迎えました。



日ごろの不養生が祟ってか、仕事中に倒れた母親が医者に掛かったときには余命数カ月という最悪の状態でした。



死期が迫り衰弱した母親が病床で娘にこんなことを話しました。





本当に辛くて耐えられなくなったときにはお母さんのお墓の前に来てちょうだい。きっと助けてあげるから。』



そう言うと、
ひもが付いた鈴のお守りを娘に首にかけました。



そして、
母親は数日後に息を引き取ったのです。



・・・



その後、娘は遠い親戚の家で暮らすことになったのですが、そこでは早く出て行けと言わんばかりの酷い扱いを受けました。



また、母を亡くしたショックから心を閉ざしてしまい、学校での人間関係も上手くいきません。



家でも学校でも自分の居場所を失ったのです。







もう本当に耐えられない、と泣き崩れた娘は母の言葉を思い出しました。



学校が終わると直ぐに母の墓前に行き、泣きながら助けを求めました。





『お母さん、私本当にもう耐えられない』





すると首から下げていた鈴のお守りが『チリン』と小さく鳴りました。





“お母さんが天国から降りて来てくれたのね”

そう感じた娘は必死になって訴えました。



『もうほんとダメ、もう無理、こんな辛い生活耐えられないよ』





すると『チリンチリンチリン』とさき程より鈴が大きく鳴りました。





“お母さん助けて”と娘が強く願うほどに鈴が強く鳴ることに気が付きました。娘の想いに鈴の音が応じているようです。





必死に願う娘の首でいよいよ鈴の動きは激しくなってきました。

『チリンチリンチリンチリン』





『本当にもうだめ、お母さんのところに行きたい!!』





すると鈴は
天に向かって動きだし、ひもで娘の首を強く締め上げながら激しく鳴り響きます。



『チリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリン』






首が絞まって、薄れゆく意識の中で激しい鈴の音が聞こえてきます。





『チリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリン』





しばらくして娘は母親がいる天国へと召されました。