ネコを飼っている女性は統合失調症の発症率が高まり、僅かではあるが自殺率も高くなるという調査報告があります。











ネコが自殺を引き起こしているのではなく、ネコの糞を介して広がるトキソプラズマ原虫がその犯人です。





ヒトに感染したトキソプラズマは脳内物質を操作して、感染者の行動に影響を与えるというのです。





トキソプラズマは一般にネズミ⇒ネコ⇒ネズミ⇒ネコといった生活環を持っています。





ネズミに感染したトキソプラズマは最終宿主であるネコ科の動物に捕食されるために、ネズミの脳内物質を操作して不安や恐怖心を抑える働きをします。









普通はネコの尿の臭いがする場所を恐怖心から避けるのですが、恐れ失くしたネズミは、ネコが居る場所に堂々と現れることで捕食され易くなっているというのです。







図1 トキソプラズマのライフ・サイクル

横浜衛生研究所より











ネコの糞便や生肉、洗浄不十分な生野菜を食べることで、全世界の3分の1の人間がトキソプラズマに感染していると言われますが、ネズミを操るようにヒトの行動もこの寄生虫の影響を受けると言われます。





トキソプラズマは免疫細胞に乗って体内を移動しますが、神経伝達物質のガンマ-アミノ酪酸(GABA)という物質を免疫細胞の中で生産させます。







そして免疫細胞の外側にあるGABA受容体を刺激することで、細胞に体内を移動させて、トキソプラズマは脳に侵入していると考えられています。







このGABA分泌の乱れは精神疾患の発症と関連があって、患者の多くでGABAの乱れが観察されています。 そしてGABAの分泌量の増加は恐怖心や不安感が減少することに通じていて、トキソプラズマがヒトを不安全行動や自殺といった無謀な行いに走らせている可能性があるそうです。







デンマークでの研究では、トキソプラズマに感染した女性は非感染の女性と比較して自殺に走る割合が1.5倍高かったということです(男性はどうなるか不明)。





しかし、すべての猫がトキソプラズマに感染している訳ではなく、生肉を与えず、外飼いを止めさせて、感染する機会を無くせば大丈夫です。 また近頃はガーデンブームに伴い、ネコの糞が混じった土からトキソプラズマに感染するケースが増えているそうです。





土いじりの後は石鹸でしっかり手を洗うことが感染予防には大切です。





 トキソプラズマが人の脳を操る仕組み ナショナルジオグラフィック ニュース