小学校の放課後、生徒達は一つの机に集まってキューピット様を呼ぶ呪文を唱えていた。
「キューピットさまキューピットさまどうか御越しください・・・・・」
ハートの中に50音が書かれた紙の上で、一つのシャープペンシルを数人が握って、呪文を唱え続ける。
しばらくするとキューピット様が天から降りて、シャープペンシルが勝手に動き出す。
そして
「××さんの好きな人は誰でしょうか?どうか教えてください」
と生徒達は恋愛に関する質問をする。
こっくりさんはなかなか帰ってくれなかったり、怒らせると祟ると言うが、キューピット様は恋の悩みを解決してくれる存在なので、祟りを起こすようなことは無いという話であった・・・・
事件が起きたのはその1週間後のこと。キューピット様に参加した女の子の一人が学校帰りにフラり車道に飛び出して、車に撥ねられてしまったのだ。
幸い大きな怪我はなかったが、事故に遭った時の彼女は意識が無い状態で、気付いた時には車道に飛び出していたという。
噂によると、その女の子はキューピット様に帰ってもらう際にシャープペンシルを三回ノックして芯を折るという儀式を怠っていたらしい。
キューピットさまの祟りだ・・・・小学校中に噂が広まった。
その後は「キューピットさま禁止令」が出されて急速に廃れていった。
しかし、数年経つと『ラブ様』や『エンジェル様』と名を変えて、おなじような降霊遊びの類が復活するので教師たちは手を焼いていた。
『お前たちはどこでこんな遊びを覚えるんだ?』と皮肉交じりに生徒に聞いてみると、大体の生徒はティーン向け雑誌のおまじない特集であったり、児童向けのオカルト本であったりしたのだが、一人の生徒がこう言った。
『放課後に図工室で遊んでるやつで、名前は知らないけど、高学年くらいでいつも同じ服を着ている男子。』
そいつ俺も知っていると、他にも知っている児童が何人かいた。
『そいつ、いつもなんか変こと言ってて、
“これ(降霊遊び)を沢山やると、早く天国に行けるよ。僕みたいに(笑)”
ってさ。』
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