『お母さん、大学に入って友達が沢山できたよ』



引っ込み思案な娘からの電話で涙が出そうになった。



『お友達ができて良かったねえ。4年間の学生を生活を有意義に過ごしてね。』



それからしばらくして、娘は休学と復学を繰り返すようになり、1留が決まる。そして4年生になったある日、突然大学を辞めてしまった。



退学を心配する母に対する、娘からの言葉は辛辣なものであった。『これからは〇〇様の使命に沿って生きるの。邪魔するなら親子の縁を切ります。さようなら。』







[カルト主催の偽装サークル]


カルト宗教が信者獲得のための手段として、全国各地の大学で展開しているのが偽装サークル。



偽装サークルでは新入生をターゲットにして『フットサルやバレーボールの集まりがあるんだよ』とビラを配り、スポーツサークルを装って勧誘を行う。



スポーツだけではなく『
一緒にwiiをやって楽しみながら体を動かそう』『マンションに集まってサッカーゲームで遊ぼう』という変わり種もある。





多くの有名大学ではカルト宗教にはまっている学生が数十人単位で在籍しており、学業そっちのけで布教活動を行うので大学側も親も頭を痛めている。



偽装サークルの勧誘手口としては、当初はサークル風の活動を行い、レジャーを行う中で先輩や同級性との信頼関係を築く。その上で徐々に教理の勉強会に持ち込むというもの。





人間関係が固定された頃にまた一から友達作りをするのは辛いので、嫌々ながらも勉強会に参加し、いつしか本人もどっぷりとカルトに浸かることになる。



『カルト宗教なんかに誰がはまるものか。』そんな自負を持つ人も、サークルを通じて得た居心地の良い場所を捨てることが出来ず、入信の方向に流れて行く。









[
体育会系のノリもスクールカーストも無い安全地帯]

体育会系の飲み会も、イケているとかイケてないとかで判断されるスクールカーストも、モテるモテないとかの恋愛系のノリもなく、ただスポーツやゲームを純粋に楽しむ偽装サークルは内向的な新入生にとって居心地の良い場所となる。





そして、『君の眼には輝きを感じる』とか『他の学生にはない魅力を持っている』など、偽装サークルの先輩達は仕切りに肯定的な言葉を新入生に浴びせ続ける。





教理の勉強を開始した頃には褒め言葉は最大のものとなって『君は生まれ変わった。』と四六時中持ち上げられる。



多くの人は、今までの人生の中でここまで自分を肯定された経験は無いはずで、大きな喜びの中で本当に自分は生まれ変わったと錯覚するのも無理はない。



今まで培って来た価値観がリセットされて、尊敬する先輩から称賛される生き方、つまり教団の教えにシフトしていき、大学時代の青春を布教活動にささげることに。









[カルト信者の自殺率は高い?]

たまたま入ったサークルが偽装サークルで、そこで得た仲間や居心地の良い環境を捨てることが出来ず、入信に至ってしまうことは誰にでも起こり得ることである。





さほど教祖の教えには傾倒していないが、安全地帯を手放す勇気がなくてズルズルと教団活動を続けている学生も多いと言われる。



カルト宗教が問題視されているのは、信者の行動が教団(教祖)の利益や意向にのみ沿うものとなり、信者は家族や社会から断絶されて帰属する集団がカルトのみとなる点である。



カルトに入信した大学生は土日も教団活動に従事し、布教のためにわざと留年したり、退学をするケースもある。



しかし、退学までして布教に尽くしたところで、カルト教団側はいつまでも一個人(学生)の面倒を手厚くみてくれる訳ではないので、ふと気づいたときには自分の手元に何も残っていないことに気が付く。



『カルト信者の自殺率は非信者と比較して有意に高い』とする研究報告が欧米で複数ある。もし自殺率の高さが真実だとすれば、その背景には家族や社会からの断絶や寄付やその他の事情による経済的な困窮に原因があるのかも知れない。





音楽で布教活動を行った『ソース ファミリー』。Yod神父と彼の13人の妻がコミュニティを形成していた。