『アイスピック男』と呼ばれる変質者の噂。

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その変質者は夜な夜なアパートやマンションといった集合住宅に出向いては、各部屋のインターホンを押して回る。それもドアにガラス製のスコープが付いているタイプの部屋ばかりを。

“ピンポーン”と呼び鈴が鳴ると、誰が訪ねて来たかをスコープで確認してからドアを開けるものであるが、アイスピック男はこの瞬間を狙っている。

男は呼び鈴を押した後、スコープ穴にアイスピックをあてがい、もう一方の手には木槌を握ってスタンバイしている。

そして部屋の住人がスコープ穴を覗き込み、部屋から漏れる明かりが遮られた瞬間、木槌でアイスピックを力いっぱい打ちこむ。

「ギャーー!!」

眼を潰された住人の悲鳴を聞くと、満足気にその場を立ち去り、次の犠牲者を探して夜の街を徘徊しているのだという。

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アイスピックを使って人々の眼を潰して回る異常者の噂は、カメラ付きのドアスコープが普及する以前に流行した。

ドアスコープを覗いた瞬間、鋭利な物で眼を突かれたらどうしよう....そんな怖い想像を多くの人が共感できる様で、ホラー映画『着信アリ』の作中でもアイスピックでスコープを覗く人を狙うシーンが見られる。